中年ちゃらんぽらん

「あんまり若者ばかりもてはやされる世の中なので、中年の人々のために、私はこれを書きました」(あとがきより)

中年夫婦の悲喜こもごも、酸いも甘いも噛み分けた経験、倦怠感もあるけれど友と酒は楽しい、そしてやっぱり我々にも明るい展望があるじゃないか…という昭和53年刊行に刊行された、ある種の中年讃歌、夫婦讃歌。田辺聖子ならではのユーモアとペーソス、という言い方は月並みですが、「すかたん」「ああしんど」など各章のタイトルも含め独特のテンポと魅力にあふれています。古いですが銀河テレビ小説でもドラマ化されましたね。昭和の夫婦観もつきつめれば根本はいつの世も変わりはないのかも。そして、本書で注目すべきは内容もさることながら、なんといっても装丁の脇田和。その一点に尽きます。題字こそ著者ですが、その背景を飾るコラージュの素晴らしさ。内容にふさわしい暖かな味わい。

*ダストジャケット上部に擦り切れと一部小さな破れあり、それ以外は古書として標準的な状態です。


著者:田辺聖子
発行:講談社
装幀:脇田和
1978年 2刷
135mm x 190mm / 322p
ハードカバー


販売価格 800円(内税)
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