明治41年生まれの女優・沢村貞子。名エッセイストとしての顔も持つ彼女の生い立ちから女優としての活動、戦争体験、そして終戦後も含め、自身の生きてきた道を還暦を過ぎてしたためた半生記。女優として、人として。自身の言葉が時代もあらわし、今の私たちにも届きます。地に足のついた文体、愛嬌にじむ人柄、それらを包み込む静かな貝のつぶやき。講談社から出され絶版となった本書を掘り起こした花森安治の仕事が光る一冊。クリーム色と薄水色のコントラストが地味ながら味わい深い装丁もやはり素晴らしく思えます。
*ダストジャケットの背など若干くすみが見られますが、特に目立つ難はなく、経年を考えても古書として標準的な状態です。
著者:沢村貞子
装丁:花森安治
発行:暮しの手帖社
発行年:1978年初版
135mm x 190mm
221P