「風が、土が、日光が、果実をそだてるとおなじやうに、その土地の少女もまた、うるはしい果實の一つとして成長する」
「石狩少女(いしかりをとめ)」。北海道で生まれ育った少女・悠紀子の、成長物語。無口な文学少女として他の娘たちからは異なる存在感を幼い頃から持ち、それゆえに人に愛され人に傷つき、少しずつ大人の女性になってゆく。若い男女の機微や家に降りかかる困難などは昭和の少女小説らしく、しかし雄大な自然を舞台に描かれるのびやかな風景にはこの作品ならではの独特の情緒があります。清廉さと大らかさ、少女の純真とかたくなさ。戦前の少女小説の名作。このジャンルに興味のある方も是非。
*古い本のため、紙質もざらつき、本文に目立つシミがいくつかありますが読む分には比較的問題はないと思います。ご了承の上ご注文ください。
著者:森田たま
装丁者:不明
発行:実業之日本社
1940年 13版
128mm × 184mm / 268p
ソフトカバー