第二次大戦勃発とともに東欧の田舎に疎開させられた少年を襲う数々の虐待と苦難。黒い髪黒い目をしているというだけで「色のついた鳥」として断罪され迫害される悲劇を一人の少年の体験を通して描く、残酷ながらも詩情にあふれた問題作。(店主の記憶によれば)星新一も「おそろしい作品を読んでしまった」と思わず呟いたという、今後も文学や映像の世界で語り継がれる異色の書。本書は72年度の角川書店による「海外純文学シリーズ」の4作目となります。黒い鳥たちを描いたカバーも妖しく美しい。経年相応のくたびれはありますが、特に目立つ難はなく普通の状態です。
著者:イエール・コジンスキー
訳:青木日出夫
装丁:鈴木欽也
発行:角川書店
1972年初版
132mm × 196mm / 253p
ハードカバー