精神科から退院し、夫とともに久しぶりの日常に戻ったハープ奏者のエレンを見舞う様々な現象。少しずつ、少しずつ、薄紙をはがすようにあらわれる違和感の影、過去からの旋律。発表は1948年。ハイスミスらにも支持され、サイコ的な性質のスリラーとしては早い誕生の本作は、その独特の描写や小道具によって奇妙な恐怖がジワジワと忍び寄ってくる佳作。そして印象深い結末とともに読む者の心に深く何かを残します。2010年に創元推理文庫から復刊され今また版元品切れの作品です。
*特に目立つ難はなく、古書として標準的な状態です。
著者:ジョン・フランクリン・バーディン
訳:浅羽莢子
カバーイラスト:松本圭以子
解説:松浦正人
発行:東京創元社(創元推理文庫)
2010年初版
110mm x 150mm / 254P
帯付き