家族にも友人にもあまり恵まれているとは言えない主人公が、アルバイト先の喫茶店で手にした客の忘れ物。それは一冊の本、海外文学だった...。そこから巡り出す彼女の人生。ほんのちょっとしたことで景色は変わる。その希望と不思議をそっとささやくように描いた表題作ほか、著者らしい様々な点と線が描かれる8篇を収録。嶽まいこさんの可憐な装丁も素晴らしく、店主おすすめの一冊です。文庫版が出たとしても単行本で持っておきたい魅力を持つ一冊でもあります。個人的には「ペチュニアフォールを知る二十の名所」が愉快でした。
著者:津村記久子
装丁:嶽まいこ
発行:新潮社
2020年重版
146mm x 196mm / 216P
*こちらは古書ではなく新刊本となり、定価販売となります。現在文庫版も出されていますが、当店では単行本を販売しております。