シンシア・アスキス、メイ・シンクレア、キャサリン・マンスフィールド、リデル夫人...。女がえがく怪奇小説だけを12篇。揃いも揃った英米女流の名品ぞろいに編訳者の慧眼が光る一冊。作者の女性たちはほとんどが19世紀生まれであり、その時代の女が小説を書くということ、しかも恐怖小説を、という一点を考えても非常に興味深い翻訳アンソロジー。特にシャーロット・パーキンズ・ギルマンによる「黄色い壁紙」の不気味さは一読に値します。
単行本初版は2000年。その後文庫化され品切れとなり、このたび約20年の時を経て重版となったこの機会にぜひおためしください。読んだ者しかわからない、読んだ人となら語り合える。夜も更けて読む海外怪奇短篇小説の醍醐味は何にも変え難いものがあります。編訳者には倉阪鬼一郎、南條竹則、西崎憲。表紙のセガンティーニの絵にもなんともいえない淋しさと恐ろしさが宿っていて素敵です。
*こちらは古書ではなく新刊本となり、定価販売となります。
著者:シンシア・アスキスほか
編訳:倉阪鬼一郎ほか
発行:東京創元社(創元推理文庫)
発行年:2024年3版
105mm x 150mm
281P