雪の降る寒い日、今日はミチくんの誕生日。お母さんが動物をかたどったチョコレートが乗った可愛いケーキを用意してくれました。そして、しばらくお留守番することになったミチくんに不思議な出来事が起こります…。雪の日の白いケーキ、それを見つめる小さな瞳。子どもは一人ファンタジーの中に入りまた戻ってくる、その行き来の美しさ。大人のいない時間、子どもにだけ訪れる夢のような瞬間がイノセントな空気とともに描かれています。文を担った片山令子さんの童心がここでも静かに輝く佳品。2018年、この作品の制作途中に急逝した片山さんからの最後の贈り物です。挿絵は岡田千晶さん。永遠に雪が降り続く優しい世界に片山さんの面影を偲んで。
著者:片山令子
挿絵:岡田千晶
発行:福音館書店
「こどものとも」2022年12月号
190mm x 260mm / 32P