人形劇が行われる夜。いつもは寡黙なあの子もやってきた。劇がはじまるとその子はいつもとは別人のようになって...。ひとつの人形に心奪われる少年。それに優しく応える主宰者側。子どもそれぞれの個性、人のあたたかみ、他者への想像力、そして人形というモノの持つ力。言葉もすくない絵本ですが、さまざまな要素が散りばめられた佳作です。作者キーツが来日した際にある人形劇で実際に目にした少年をモデルに描いた作とのことですが、絵本のなかでは人形劇を主宰しているのは少年と同じくらいの子ども、という設定が、大人が立ち入れない純粋さをあらわしているようで、独特の余韻をもたらしている気がします。店主は人形が出てくる絵本やおはなしにちょっと弱いのですが、この作品のハッピーエンドは何度みてもしみじみとします。
*ダストジャケットにヨレあり。それ以外は経年相応の状態です。
著者:エズラ・ジャック・キーツ
訳:きじまはじめ
発行:偕成社
発行年:1977年初版
210mm x 232mm
ハードカバー/DJあり
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