フランス人ユーモア作家・ダニノスによる英米批評エッセイ。架空の友人「トンプスン少佐」と著者が掛け合いながらイギリスとアメリカを見聞。戦後10年、欧米の世相が落ち着き新しいステージに入る頃登場した上質のユーモアと批評眼。「つまりフランス人は自己批判を必要とし、大いに笑いたがっていた時に、のっそり出て来たというわけだ…」とは翻訳の堀口大學。当時ヨーロッパでベストセラーとなったようですが、訳者いわく、日本では刊行半年経ってもまだまだ余っている、だそうで、当時の日本でこの手の本がどう受け入れられたかも興味深いものがあります。原題から大幅にそれたタイトルも渋い。戦前戦後の欧米文化の一端を知る一冊。佐野繁次郎による装丁が本当に洒落ていて魅力的。
*古い本ですが、大きく目立つ難はなく古書として標準的な状態です。
著者:ピエール・ダニノス
訳:堀口大學
発行:新潮社
1958年初版
122mm × 182mm / 277p
ソフトカバー