主人公マチウがさまよう夜の町の、まさに鉛のような重くるしさ、暗さ、閉塞感。あらわれるもう一人の自分とともにどこに流れ着くのか。深く潜りつつ何かを問う。20世紀前半に活動したドイツの作家、ハンス・へニー・ヤーンの長編。60年代の現代思潮社。不穏な装丁が物語の濃度を増してゆくかのよう。ヤケ、ダストジャケットのかすれなどところどころ見られますが、本文を読むには問題なく、古書としておおむね標準的な状態です。
著者:ハンス・へニー・ヤーン
出版社:現代思潮社
発行年:1969年 新装第一版
135mm x 190mm / 162ページ