「こんがらがってしまったら落ちついて思い出そう。静かな、天体としてのわたしを。」
清廉、可憐、変わらぬおさなごころ、そのなかにある強い詩人の魂。美しいレース編みのような、細くしなやかな切れぬ糸のような。冒頭、表題作の「惑星」に心つかまれ、そのあとは彼女にしか書き得ない世界に静かに入ってゆく。その独特の感性、知性と稚気があいまった言葉選び、語順のひとつひとつに到るまで。本書は、詩人、童話作家である片山令子の遺作であり生前の散文を集めた貴重な作品集。派手な売れ方はせずとも、必ずやゆっくりと愛され長く人々の心にとどまるであろう一冊です。それは本書を読んだ者にしか手にし得ない幸せでもあります。永遠の童心をあらわしたかのような装画は夫・片山健。
*こちらは古書ではなく新刊本となり、定価販売となります。
著者:片山令子
装画:片山健
発行:港の人
2019年発行
135mm × 195mm / 168p
ハードカバー