「街角をまがるたび / わたしは鳥になっていないかと思う / 乾いた空に / 舞い上がるはずだ / と思っている / スカーフが羽ばたき」…
花を見て、空を見て、鳥を見て、スリッパを見て、思い出を見て、それぞれに生まれてくる自然な言葉。詩人・西尾君子の紡ぎ出す詩の世界には、柔らかで優しく、それでいて芯の強い鮮やかな何ものかが宿っています。女性らしさ、リリカルさ、そういったものとは別の何か。瑞々しさと素朴さが同居するかのような言葉たち。サンリオ出版、そして挿絵が小野千世という雰囲気がまさにふさわしい一冊。特に小野千世の絵の存在がこの本の魅力をさらに高めています。カバー袖に添えられた、やなせたかしによる献辞「童女のようなおどろき」という言葉に深くうなづく一冊。奥付までも愛らしい。
*若干、変色・シミあり。他、経年並みにて古書として標準的な状態です。
著者:西尾君子
装画・挿絵:小野千世
発行:サンリオ出版
1977年初版
156mm x 176mm / 80P