ねこは、ひらひらふってくるしろいものをじっとみます。そして、ふゆってなんだろう? と、かんがえます。このねこは、なつ、のはらでうまれたのです…
雪の降り始めたころ、子どもたちは一匹の野良猫が気になり出します。だんだん寒さの増すなか、子どもたちは毎日その猫に話しかけます。やがて…。自然な成り行きで一匹の猫を救ったきょうだいたち。人に甘える悦びを知った猫。その出会いがモノクロの優しい描線で描かれた絵本。シンプルでありながら端正な世界が冬を美しく描き、読む人の心をあたためます。野良猫の保護、というと少し大げさなくくりにも思えますが、日々猫に接している身としては切なさと嬉しさがこみあげてくる一冊です。表紙にほどこされたシックな色合いも魅力。
経年相応のくたびれはありますが、おおむね古書として標準的です。
著者:ハワード=ノッツ
訳:松岡享子
発行:偕成社
1978年4刷
182mm x 184mm / 30P